Program Info

体育プログラムのご案内

体育プログラムの進め方

子どもたちは楽しいことが大好きです。楽しいという感情の中、小さな成功体験や失敗体験を積みながら、体と心を育んでいきます。
そのため、子どもたちは「遊んでいて楽しい!」という中、狙った成果を引き出すための体育プログラムを実施します。
子どもたちが遊んでいるように見える中、その時期(年齢)に獲得しやすい体の機能や心の広さを身につけていきます。

体育プログラムでは「体の土台、体の根っこ」を作り、その上に様々な動作を積み上げていきます。ピラミッドに例えるなら、底辺が大きければ大きいほど、その上に積み上げられるものを大きく増えていき、出来上がるピラミッドは大きくなります。
体育プログラムはそのピラミッドになぞらえ「4つのステージ」で構成されています。

どんな動作(スポーツ・文化活動・生活動作など)も乗せられる体の土台を作っていく、自由で創造豊かな体育プログラムの全容をお伝えします。


4つのステージ詳細

まっすぐ立てる体づくり
【よい姿勢で立つ】


 

まっすぐ立つために必要な【体幹(コア)の力】を身につける

 
赤ちゃんが生まれてから、立って歩けるようになるまでの約1年間の間に、様々な運動を行いながら、体を育んでいきます。

泣く・仰向け・うつ伏せ・寝返り・腹ばい・はいはいなど、こうした運動を繰り返すことによって「立って歩くために必要な体幹の力」を獲得していると考えられています。
この時期に「うつ伏せ遊びをしていない」「はいはいをあまりしていない」ということは、体幹の力を獲得せずに立ってしまうことになり、

・猫背で姿勢がわるい
・ふにゃふにゃする
・じっとしていられない
・よくつまづいたり、転んだりする
・歩き方、走り方が何かおかしい
・なんとなく動き方がおかしい
・何をやらせてもうまくできない

などといったことにつながっていることは少なくありません。
こうした状態になっているのは、体幹の力が弱く、重力環境の中で「自分の体を支えて動く」ということがうまくできていないことが要因になっています。

こういった状況では、大きくなり大好きなことを見つけて熱中したいと思ったときに「上達しない」「おもしろくない」「ケガをしてしまう」などといったネガティブなことにつながる可能性が大きくなります。

全ての子どもたちは、無限大に体の可能性や未来の可能性を平等に持っています。その可能性を引き出すためにも「体幹の力」をしっかりと身につけ、全ての身体活動の土台となる「まっすぐ立つ(よい姿勢)」を獲得することから始めることが大切です。

ヒトであれば誰もがとおる「赤ちゃんの発育発達過程」に合わせた、子どものための体幹トレーニングで、体幹の力を引き出し、まっすぐ立てるよい姿勢づくりを行います。

思い通りに動ける体づくり
【身体操作性を高める】


 

思い通りに動くための【体幹と手足の協調】を身につける

 
立って歩けるようになると、重力環境の中で自分の体を思うように動かすための練習を開始します。

最初はよちよち歩きだった運動が安定感が増していき、背骨を重力に対してまっすぐな状態を保持できるようになり、背骨と手足が協調されて(体幹と四肢の協調)スムーズな動きが出来上がっていきます。

あるく・はしる・ころがる・おきあがる・まわる・とぶ・すべる・さかだちなど、体ひとつを活用する運動を通して、重力に適合した動きの獲得を行っていくと考えられています。

これらは、重力環境の中での体ひとつを使った運動であり、繰り返していくことで重力から体を支えること、自分の体の動き方、自分の体の存在などを、脳の中に記憶していきます。これは体の発育発達に必要な運動刺激であり、必要な運動量は1日に15000歩~20000歩程度と一部では言われています。
このような運動経験の量と刺激がしっかり体に与えられることで、全ての運動の基礎である「あるく」「はしる」「とぶ」の質が高まっていき、思い通りに自分の体を操作することにつながっていきます。
このことを「身体内適応能力」と呼んでいて、ヒトという動物の基本機能である「直立二足歩行」の質を高めてくれます。

その結果、出来ることの幅が広がっていき、色々なことに取り組めるようになることで、出来た喜び(成功体験)や、出来なかった悔しさ(失敗体験)をつむことができるようになり、チャレンジ精神の基礎も身についていきます。

この時期にこうした運動経験の量と刺激が不足してしまうと、

・動きたくない
・疲れるからやらない
・動くのがめんどくさい
・どんくさい
・運動神経がにぶい

などということにつながっていく可能性が大きくなります。
そうすると、体の成長を促していくための運動量と刺激が不足していき、筋肉や骨格の成長がスムーズに行えなくなる一方、強い心の成育に影響が出てくる可能性が出てきます。

運動の基礎になる体幹と手足を協調させることにより「あるく」「はしる」「とぶ」の土台が出来上がっていき、思い通りに動ける体をつくっていきます。
子どもたちには「遊ぶ」という感覚の中で動くことの楽しさ、出来ることの喜びを体感してもらいながら、こうした狙いを達成するプログラムが動きづくり運動です。

多種環境で動ける体づくり
【巧みな動きをつくる】


 

環境に合わせられる【バランス感覚】を身につける

 
自分の体を思い通りに動かせられるようになると、様々な環境に合わせて動く練習に移っていきます。

平坦な環境で動くことができようになると、外的環境の変化に合わせて、軸と重心を安定させながら動くためのバランス感覚が出来上がっていきます。

くぐる・わたる・ぶらさがる・のぼる・よける・かわすなど、環境に体を合わせて操作する運動を通して、どのような環境下においてもバランスを崩すことなくスムーズな動作を獲得していきます。

斜面・凹凸・滑る・グリップがきくなどの路面(床)の状況、段差・障害物などの静的環境、物の動きなどの動的環境など、日常の中では環境が常に変化しています。
こうした不定環境への「身体外適応能力」を高めていくことが求められます。

さらにその能力は、もつ・なげる・とる・あてる・ける・ふる・はこぶ・うつ・ささえるなど、物を操作する動きにつながって更に発展していきます。
より複雑で高度な運動が日常の中では要求されてくるため、生活をしていくためには必須となる能力となります。

スポーツに似た動作であるため「スポーツ様運動」と一方では言われており、ピッチング動作・バッティング動作・シュート動作などの「特異性あるスポーツ動作」とは違い、その基礎となるものです。

ここで間違えてはいけないのが「正しい動き方」と「正しいフォーム」は違うということ。
スポーツを始めると、どうしても正しいフォームに目が行きがちになりますが、小学生の時期に正しいフォームを習得しようとしてしまうと、身長・体重などの骨格構造や脳・感覚などの神経系といったものの成長阻害要因になり得る可能性があります。

この時期に必要なのは、中高生で習得していくべき、いわゆる正しいフォームを身につけるための土台となる「ヒトという動物としての正しい動き」です。最大効率(最小限の力でスムーズに動く)の動作を身につけることで、骨格構造や神経系の発達を促していけます。

身体外適応能力とは、このような意味を持つため、正確なスポーツ動作ではなく、スポーツ様動作としての体の使い方や動かし方を練習していきます。
その基礎となるのが「くぐる・わたる・ぶらさがる・のぼる・よける・かわす」という運動であり、その次に習得されていく「もつ・なげる・とる・あてる・ける・ふる・はこぶ・うつ・ささえる」などの運動です。

多様な運動では、このうような運動形態で身体外適応能力を身につけ、高めるためのプログラムを実践します。

対応力ある実践的体づくり
【身のこなしをつくる】


 

ルールある中で突発的・不規則的への【対応力】身につける

 
身体内適応、身体外適応が高まってくると、より実践的に体の機能や能力を高めていく練習を行います。

生活環境の中は、規則正しく決まった法則というものは少なく、常に不規則で予知できないことが多く起きてきます。その中で、培ってきた能力を発揮できるようにならなければ、本当の意味での運動能力の向上ということにはつながりません。

そのため、色々なルールや環境設定の中、判断力・瞬発力・行動力・操作性・俊敏性・巧緻性など、総合的な能力を高めていくことが必要になります。

子どもたちの動き自体、自由かつ不規則なものであるため、型にはめすぎることは、その能力の開花にブレーキをかけてしまう可能性もあります。同じ動作の反復(スポーツ動作の繰り返しなど)の刺激と量が多ければ多いほど、型にはまってしまい、総合的な能力に偏りが生まれてしまいます。

体づくり・動きづくり・多様な運動の中で実施してきた運動に加えて、くむ・たおす・つかむ・ひく・おす・おさえるなどの、人に合わせた動きを取り入れた複合的な運動を行うことで、様々な機能や能力を統合して総合的な能力を引き出し、高めていきます。
もちろん、自由かつ不規則な環境にて運動が行えるようにルールを工夫することが求められます。
 

ここで重要なのは、大人が介入してルールを決めてしまうことで、不自由かつ規則的な環境になってしまうため、この段階では子どもの世界に大人が介入せず、子どもたちの自由な発想を活用していくことが大切です。
 

具体的には、大人が介入することで起きる弊害(少し大げさですが...)として「小さな危険」を体験する機会を失います。「危ない!やめて!だめ!」という声かけが生まれ、子どもたちはトライするチャンスが奪われてしまいます。

 
この小さな危険とは「ぶつかる、ころぶなど、痛みを伴う体験」をすることです。子どもたちはこの体験で「これはあぶない」という線引きが行えるようになります。それにより、自分の限界ラインを知るこができるため、限界を少し超えたところへの「頑張ってみよう!」というモチベーションが生まれること、限界を大きく超えたところへの「これはできないな」という判断が生まれるため、運動や遊びにも安全が確立していけます。
 
こうした成長により、少し超えたところへのトライ&エラーで成功体験と失敗体験をつんでいき、体も心も成長していきます。このトライしよう!というモチベーションも、集団の中で友だちが頑張っている様子を隣でみることにより、自然と背中を押されて芽生えてきます。なのでこの時期の子どもたちは、単独で遊ぶよりも集団で遊ぶことで限界ラインを超えていくモチベーションが生まれやすく、体や心、運動の発達を促してくれます。
 

複合運動ではこうした狙いのもと、友だちと協力しながら、思いっきり体を動かし、しっかりと楽しんで汗を流します。


教室のテーマとプラン

実際の教室では1年間をいくつかのクールに分けて、様々なテーマを設定して体育プログラムを作成します。
体づくり運動/動きづくり運動/多様な運動/複合運動
4つの要素の割合を変えながら、より高度で巧みな動作を身につけていくプログラムの全体像になります。

また、4つの要素は相互関係性が高く、姿勢がよくなれば動きがよくなり、操作性が高まります。操作性が高まれば、姿勢をよくする運動の質も高まり、より姿勢がよくなるという関係性です。そのため、1年クールで考え、下記のような配分(イメージ)で年度を繰り返していくようになります。

幼児クラス(50分)

  3ヶ月 6ヶ月 9ヶ月 12ヶ月 
体づくり 30分 25分 20分 15分
動きづくり 10分 15分 15分 15分
多様な運動 5分 10分 10分 15分
複合運動 5分 5分 5分 5分

幼児クラスの場合は、まっすぐ立ち、思うように体を動かせるようになっておくべき年代であるため「体づくり」と「動きづくり」が非常に大切な時期です。そのため、この2つの要素にかける時間が比較的多くなり、身体内適応を高めピラミッドの土台をしっかりとつくっていきます。また、体力的にも運動量は十分確保できます。
土台は大きければ大きいほど理想的であるため、年度スタートは体づくりをメインに行っていきます。
 

小学生クラス(60分)

  3ヶ月 6ヶ月 9ヶ月 12ヶ月 
体づくり 25分 20分 15分 10分
動きづくり 20分 20分 20分 20分
多様な運動 10分 15分 15分 20分
複合運動 5分 5分 10分 10分

小学生クラスの場合は、年齢的に色々な環境に合わせて動くことを習得し、巧みさを少しずつ上げていく時期になります。そのため、体づくりをウォーミングアップのようなイメージで活用しつつ、立ってからの運動である「動きづくり」「多様な運動」をメインにして、身体外適応を高めていきます。
神経系の発達が促されていく時期でもあるので、色々な運動刺激を加えながら運動量を確保していきます。